もはやニューヨーク市がCoronavirus(コロナウイルス:COVID-19)の危機に直面していることは説明不要かと思います。我々が暮らしているマンハッタンでは本当にこれでもかというほどに生活が変わってしまいました。ニュースで報道されたりしている映像や、SNSでの個人レベルでのリアルな配信など、ものによってはそれほどひどい様子に見えないものがあったり、目を疑うような信じがたい光景が映し出されていたり。それぞれ深刻度のレベルに違いや矛盾があるように見えるものもあったかもしれませんが、それぞれ全て現実だと思います。
ここでは昨日撮った写真も含めて、我々が見ている今のマンハッタン(特にミッドタウンエリア)の様子を掲載することにします。これを書いている現時点で、アメリカの感染者は419,975名、ニューヨーク市で81,803名(死亡者4,571名)です。
我々が住んでいるエリア:マンハッタンのミッドタウン
我々は、マンハッタンでも観光箇所が多く集まるミッドタウンの西側(ミッドタウン・ウェスト)に住んでいます。具体的には、コロンバスサークルという「セントラルパークの左下」にあたる場所です。マンハッタンがニューヨーク州のどこにあるかピンとこない方はマンハッタンの場所を説明しているこちらのページをご参照ください。
地図で拡大するとこのエリアとなります。
近くの大通りとしては、8番街があり、ブロードウェイの劇場がたくさん立ち並んだ、昼も夜もひっきりなしにタクシーのクラクションと、パトカーのサイレンが鳴り響く場所でした。「でした…」というのも、もはや過去形です。
今ではタクシーはほぼ走っておらず、朝の9時を過ぎたら渋滞となっていたこの8番街も、渋滞は皆無。今聞こえるサイレンの音は、パトカーもありますが、救急車のサイレンの方がよく聞こえます。この文章を書いている今この瞬間も救急車の音が聞こえますが、このサイレンを聞くだけで、またコロナで重症になった人が運ばれているのか…と思ってしまう、そんな状況です。
このページのトップ画像は、8番街と56丁目の交差点から南を向いてスマホで撮影した写真です。ずいぶん遠くまで車が流れていないことがわかりますが、これを撮影したのは4月3日(金)の午前10時頃で、子供の薬を薬局へ取りに行った時に撮影したものです。
大きく変わった子供の学校事情
この1ヶ月で生活がガラッと変わってしまった我が家では、1st Grade(日本の小学一年生)の初号機と、Pre-K(日本の幼稚園年少)の弐号機が通う学校は、3月23日(月)からリモート・ラーニング(遠隔授業)が始まりました。
背景にはクオモ知事の発令した外出禁止条例があり、食料の買い出し、薬局へ薬を取りに行く、最低限の散歩とジョギング以外の外出を控えて自宅待機するように、というものがありましたが、実は、この前の週(3月16日)から既に学校は休校となっていました。休校になった最初の週、今後の授業については学校から連絡(Eメール)待ちでしたが、休学になった時点で、リモートラーニングの可能性がある、と言われていました。
可能性がある、となった時点で、家のインフラ調査が入りました。具体的には、子供の人数分パソコンかタブレット端末があるか、インターネット環境があるか、などです。そして、パソコンがない、あるいは子供の人数に対してパソコン(タブレット)の台数が足りない家庭は、無償でiPadレンタルがあるので申し込むように、という連絡がありました。我が家には、およーめのラップトップ(ノートパソコン)が1台と、子ども用に購入したアマゾンのタブレット(Fire HD)があったので、妻のラップトップと子ども用のタブレットを使えば何とかなるか、と思いましたが、タブレットはFlashが対応していなかったり、こども用の設定にしているのでいろいろインターネット接続で規制がかかったりしているのでうまくつながるか不安だったので、iPadを1台レンタル申請するようにしました。この時は、無料でiPadがレンタルできるね、くらいの、まだ少し呑気な状態だったのを覚えています。後日、タブレットでもいけそうと分かったのでiPadのレンタル申請はキャンセルしました。後からニュースで知ったのですが、結果iPadの数が全然足りていなかったらしく、レンタルしなくて良かったと改めて思いました。
学校と先生の情熱を感じた
休学が決まってすぐ、先生達は週末関係なく学校に集まり、リモートラーニングのためのレッスンを受けて、教材を作っていました。アメリカの学校はEメールでの連絡が多く、普段から1日1回は必ず何かしらの連絡がきていたのですが、リモートラーニングの準備に入ってから毎日5回以上、細かいアップデートが送られてくるようになりました。本当に全員が授業を受けれるのか、学校側のインフラ整備やGoogleとの連携、市との連携、州との連携、DOE(Department of Education)との連携など。PTA、保護者、先生、校長、それぞれが訴えかけるメッセージや不安をまとめては上層部に投げかけて、その結果(フィードバック)を細かく連絡してくれました。メールを開いてパッと見て長い文章だったらすぐに既読にしていた私も、ここまで動いているのかと思い、全てに目を通すようになりました。
3月16日に休学となってから、iPadの申請をするまでたったの3日ほど。
リモートラーニングなんて経験したことがなかった先生達が手作りで作った教材をポータルサイト(Google支援による)にアップするのに5日ほど。Eメールが夜中2時にきたこともあり、学校関係者は寝ずに準備したことが分かりました。とてつもなく短期間で準備をしてくれたのです。担任の先生が「今みんなのために楽しい教材(マテリアル)を用意してるから楽しみにしててね!」という個別メッセージや自分撮りをした動画を送ってきてくれたりもしました。保護者向けのEメールでは、使おうと思っていた教育システムがやはり使えないと分かったので他システムを使うことにした、ユーザーIDの作成方法、ログインの仕方、など細かいやり取りが続きました。何百人分ものユーザーIDの作成を、学校の事務所で働く担当者が一人でやろうとしていて、夜中の3時までパソコンに向かっていたのを知った人がボランティアで参加して全てセットアップした、というのも後のメールで知りました。
子供の敏感度と繊細さ
子供にはストレスをかけたくないと思いましたが、我が家では嘘をつかないルールとなっていますので、コロナウイルスという見えない敵がニューヨークの街を襲っていることを伝えました。学校が休みになって最初の1週間は春休み気分で喜んでいた二人の子供も、すぐに友達に会いたいと言い出しました。大事な友達も感染しないように家で過ごしているからねと伝えて、中の良い友だちの保護者と連絡を取り合い、FacetimeやSkypeでおしゃべりを楽しんでいました。4歳の弐号機は、まだ普通に学校に通っていた2月下旬、コロナのニュースがアメリカでも毎日報道されている頃に友達から「Are you sick ?(君も病気なの?)」と言われたとを覚えていました。2月の時点でニュースでコロナウイルスが取り上げられていたのは日本にフォーカスしたもので、横浜のクルーズ船の話ばかりでした。質問してきた子供は、きっとコロナウイルスが中国や日本で流行っている、という話を家で聞いたのでしょう。当時の日本の感染者数は280名ほどで、アメリカでは100名ちょっとだったと思います。全く悪気のない質問でしたし、うちの子は「No」と笑って答えただけの話でしたが、この出来事を非常に鮮明に覚えていたようです。子供の記憶はすごいですね。この事態になって、自分が学校に何かをしたの?と不安そうに私に聞いてきたので、違うよ、と言いました。これくらい子供はセンシティブなんだと改めて気づいたので、真実を伝えて子供レベルでも危機管理が少しでも認識させながらも、リモートラーニングを楽しんでもらえれば、と思いました。
学校のリモートラーニングについて
リモートラーニングの初日を終えて、「これを今後続けるのか…」と落胆したのは子供ではなく親の方でした。
ログインして順番に子供の指でタブレットを押していけばゲーム感覚で勝手に進んでいくようなものかと思ったら全く違いました。一年生と年少の二人はそれぞれ違う端末からログインをして出席を取ったら、その日のコースを確認します。アート、算数、科学、音楽、年齢によって違いますが、しっかりしたカリキュラムがあります。あと、その日のうちに完成させて提出するものがたくさんあります。こなす順番こそ自由ですが、だいたい一年生の初号機は、算数からとりかかります。よく起きてすぐに算数をやるな、と思いますが、算数にハマっているらしいです。しかし、プリントを印刷するのも、途中の質問に回答するのも、答え合わせをするのも、完成したプリントを写真に撮ったりスキャンしたりしてポータルサイトにアップロードするのも、全て親の仕事です。その間に向かいに座っている年少の弐号機が朝の歌を大声で歌っています。自分も幼稚園の時に歌っていた「おはよう~おはよう~」といった感じの歌です。お気に入りの朝一発目の歌なので、弐号機は2回も3回も歌います。目の前で大合唱されながら困った顔で耐えながら算数に向かう初号機ですが、今では慣れたもので見えない耳栓をしたかのようにこの状況でも集中して算数をやっています。
各家庭で二人以上子供がいるところはかなり工夫をしているかと思います。例えば図工(工作)の時間は重なってできません。ハサミを振り回す弐号機をみながら、初号機のなかなかクリエイティブな工作を指示できません。一年生の工作と思ってナメていましたが、さすがアメリカ、課題の質問が良くも悪くも荒い…。①を切って②に貼り付ける、別の③でつくったものをこれに貼り付けて…みたいな順序を踏んだ日本のようなものではなく、いきなりゴッホやモネの絵画を見せて自分流にアレンジしてみて何か描いてみて、みたいなノリです。これこそほったらかしで良いと思うのですが、その中でも使って良いものダメなもの、が細かく指示されています。アメリカの大学を出たおよーめも、既に一年生の宿題の質問の文章は2度も3度も読み直している状況です。チビの方は、音楽の授業なのに、家にあるものでマラカスを作ってみよう!という音楽の先生の動画を見てテンションが上がっています。トイレットペーパーの芯の中に乾燥した大豆などを入れて簡易的な楽器を作ろうというプロジェクトです。およーめは上の子の英語を必死で訳してヘルプしているのに、こちらはハサミはどこ、テープはどこ、大豆はどこ、と聞いてきます。そもそも大豆なんてないので米粒でも入れてくれ、と思って米を出したとたん、袋をひっくり返して机の上にばら撒きました。やっと完成したと思ったら、米粒では音が小さすぎて嫌だ!と言い出しました。そんな完成したものは写真撮ってアップロードするだけだから誰にも文句言われないよ、というと、ちゃんと音を鳴らしている動画を撮って見せないといけない、とのこと。ポータルサイトを見たら、みんなGoogle Drive上に動画をアップしているではありませんか…。なんて面倒くさい…。親御さんはカメラマンになり、動画ファイルのサイズが大きすぎたら圧縮したり、大変です。
そんな手間の多いリモートラーニングではありますが、非常に関心深いことがあります。それは、この教材のほとんどが先生による手作りであることです。学校によっては異なるかもしれませんが、だいたい○月○日の動画、という感じで担任や音楽の先生などのオリジナル動画が何本もアップされています。全員がユーチューバーになった気分でしょう。ある動画は昼間に撮影したもので、ある動画は夜中に撮影したもの。1週間分を撮り溜めしてリモートラーニングの開始に間に合わせたようです。最近では、弐号機の担任の先生の動画の背景が大きく変わったと思ったら、どうやらニューヨーク市を脱出して田舎のオハイオ州の実家に移ったということで、大きな家のリビングが背景になっていました。音楽の先生は自分の部屋で撮影していましたが、同じ状況で田舎の実家に戻ったのは良いのですが大きな声で歌ってたらお母さんに怒られたらしく、庭に出て外で自撮りした動画をアップしています。週の初めの動画では、その前の週にクラスメイトが提出した宿題や課題について先生がフィードバックする動画がアップされます。生徒一人ひとりの名前をあげて、誰が作った作品(作文)のこんなところが良かった、などみんなに共有するような内容です。本当に手作りなんです。
日に日に強化される教育サービスとメンタルケア
ニューヨーク市の教育機関のスピーディーな動きには驚きです。学校の勉強サポートなどは毎日メールが配信されますが、今日(4/8)きた学校からのEメールには、メンタルヘルスケアのためにプロの精神カウンセラーや精神科医が学校に来て、カウンセリングのサービスを開始する、とありました。また学校まで来ることができない家庭には電話とビデオチャットでも同様のサポートが受けられる、という事です。また、この状況にあって、逆に家でのコミュニケーションが減ってしまったり、結果として子供の言葉数が少なくなったり、喜怒哀楽の表現が少なくなってきたりしないよう、専門の人がワークショップを提供する、ともありました。
具体的にはこんな内容です(以下英語サイト)
Comprehensive resources for parents on childmind.org in both English and Spanish
Twice daily Facebook Live videochats with our expert clinicians
Daily parent tips on childmind.org, Facebook, Instagram, and via email newsletter
今日きたEメールでは、学校は引き続き4月29日までは休校、という事です。いつまで続くか分かりませんが、6月まで続けばそのまま夏休みになってしまうでしょう。日本でいう高校3年生にあたる学年は大学入試のための検定試験が予定されていましたが、それもキャンセルになったようです。3~8年生を対象に予定されていた州の算数検定(Math and ELA Test)もキャンセルになりました。
友達に会うことが全くなくなった学校生活ではありますが、ZOOMなどを利用したチャット機能であるクラスメイトのお父さんが言いだしたことがきっかけで週1回のチャットセッションが開催されました。それこそ全員が同時に発言するのでシッチャカメッチャカですが、それでも楽しそうに全員が騒ぎます。やっぱりお互いの顔を定期的に見れた方が良い、という他の保護者も賛同して、このテレビチャットが先生にリードされて開催されるセッションも週に1回、開催されるようになりました。さすがに先生とチャットする時は、名前を当てられた子供だけが発言するようになりました。あるクラスメイトが誕生日だったので、数秒の時差がありながらもみんなで同時にハッピーバースデーを歌っていました。技術の進化に大変感謝です。
ここ最近の一日のスケジュール
前述したクオモ知事による「外出禁止令」は、混乱を防ぐため、完全な「ロックダウン」にはなりませんでした。完全なロックダウンは、外に警察や州兵を置いて、外に出ている人がいたら職務質問をして、不要な外出と分かったら強制的に家に帰す、というものですが、そこまですると市民のストレスが一気に溜まってしまうのと極度の混乱状態に陥る可能性がある、ということで内容としては緩めたものになりました。結果はご存知の通りで、条例があっても働き続ける人(働かなくてはいけない職種の人がたくさんいました)や、公園で集まる若い衆などもいたり、あれよあれよという間に今日の感染者数に至ります。
なので、うちは基本的に子供を外に出していません。
ただ、3日も4日も連続して家にこもるとやはりストレスがたまっている様子で食欲もなくなってくるので、4日目くらいで家のまわりを3ブロックほど散歩します。あまりに天気の良い日や、これから雨が続くだろうと分かっている日は、30〜40分ほど散歩します。または、家の目の前で縄跳びです。移動しなくて良いけどけっこうな運動になるので、夜もぐっすり眠れる良い方法だと思っています。子供は感じていないかもしれませんが、大人の私達は久しぶりに外に出てちょっと歩くだけで疲れる体の変化に驚きました。こんなに体のコンディションが変わってしまうのかと思うくらい、家にずっといると本当に体が鈍るのを体験しました。
ちなみに、我が家の最近の1日はこんな感じです。
09:00~09:30頃 | 学校に行っていた時は、7時過ぎに起きて8時に家を出ていましたが、リモートラーニングになってからゆっくりモードです。たまに10時に起きたりしますがなるべくこの時間帯に起きて朝ご飯を食べるようにしています。 |
09:30~10:00頃 | リモートラーニング開始。ぱじゃまのままお、よーめが二人に張り付いて開始します。はびーがたまに見るときがりますが、基本的に妻に任せて寝室で自分の仕事を開始します(在宅業務)。 |
13:00頃 | お昼ごはん。上の子は良いですが、下の子の集中力はそう長く続きませんので、途中途中で科目を変えながらランチタイムまで引っ張ります。お昼ごはんをホットプレートでお好み焼きにしたり、子供にお手伝いをさせながらやると、たまにその日の課題である「モノ作り」の宿題として提出できるので一石二鳥です。 また、食料が少ない日は市の配給(画像はこちら)にでかけます。これは散歩もかねて行けるので、これまた一石二鳥。但し、配給の食事はチーズとパンが基本なので、贅沢は言えないのですが子供は飽きてしまうのが正直なところです。 |
14:00頃 | リモートラーニング再開。だいたい午後の時間で工作だったり課題をするようにしています。この時間ではびーが助っ人に入る事がありますが、あまり役に立ちません。 |
15:00頃 | 集中力も切れて、この時間帯で二人は完全燃焼します。外に行けないので、NetflixとAmazonプライムのシリーズものの動画を見て時間を過ごします。 |
16:00頃 | 3~4日に一度、この時間帯で外に出て30分ほど散歩したり、縄跳びをしたりします。 |
17:00頃 | テレビは一旦休憩して、カードゲームやパズルなど、手と頭を使う遊びをするようにしています。 |
18:30頃 | 散歩した日はしっかりお腹が空いていますが、そうでない日はあまりお腹が空いていないので、あるもので適当に食事をします。二人の好物の「納豆ご飯」でこなせる日が2日に1回くらいあるので楽勝なときが多いです。 |
19:30~20:00頃 | お風呂にお湯をためて、なるべく浸かるようにしています。あと二人でキャッキャキャッキャして遊んでもらえれば、ここで体力を使ってもらい、ぐっすり眠れるようにもなります。 |
20:00~20:30頃 | 寝る前のゲームの時間。ゲームと言ってもうちはTVゲームを置いていないのでカードゲームが基本です。手と頭を使って遊びます。最近ではUNOが家で流行っています。なぜか地味に4歳児の弐号機が強かったりします。 |
20:30~21:00頃 | 就寝。この時間帯に寝てくれば…ですが。散歩に出た日はよく寝てくれます。寝てくれない日はベッドタイムストーリーを求められますが、丸一日張り付いて疲れているおよーめが充電切れのことが多いので、はびーが役に立つことがあります。 |
マンハッタンの街の様子(ミッドタウン周辺)
前はよく買い物(特にお気に入りのベーグル)に行っていた時に通っていた八番街の様子です。
このあたりはピザ屋、デリ、健康食品屋さん、マクドナルド、ウェンディーズ、サンドイッチ屋さん、などたくさんのおお店がありましたが、今空いているのはマクドナルドとウェンディーズだけで、テイクアウトのみとなっています。
前から8番街にはそれなりにホームレスがいたのですが、今は人がいないので、逆に彼らの姿が目立つようになりました。ウェンディーズやマクドナルドの前でドアマンになって小銭を求めるホームレスは毎日います。
マクドナルドやウェンディーズなどのファーストフード店内でも、ソーシャルディスタンスは義務付けられており、レンジの前から6フィート(1.8メートル)おきにテーブで線が引かれています。先日、コーヒーだけ買いに立ち寄ったら、自分の足が少しはみ出ており、大声で注意されました…。注意したのはお店の店員ではなく、自分の前に並んでいたお客さんでした。きっとみんな神経質になってしまっているんですね。こういう状況を通して、今ではソーシャルディスタンスの距離感がしっかり身についています。
地下鉄利用者は減っている
定期的に病院に行かないといけない用事がある私は、この状況でも病院に通います。
それが離れた場所にあるので、地下鉄を利用せずにはいられません。
自宅待機の条例が出てから初めて地下鉄に乗りましたが、急行が全て各停になって運行して、本数が減っている以外は普通に運行しているような印象を受けました。ただ、駅構内には全然人はいませんでしたが…。
平日・週末関わらず賑わっているこのデパ地下(Turn Style:ターンスタイル)から人が消えていたのはさすがに驚きました。
駅のプラットフォームには2名しか人がいませんでしたが、電車に乗ると、1つの車輌に10名近く人がいました。やはり移動の手段で地下鉄は外せないのだろうと思いました。(バスもダイヤを減らして運行しています)
ダウンタウンの様子
病院に行った帰りに少し歩いてダウンタウンまで行ってみました。
久しぶりに30分以上歩いたので、さすがに気持ち良かったのですが、車も人も少ないこの状況は気持ち悪かったです。
ダウンタウンまで行くと、ミッドタウンよりもさらに閑散とした雰囲気でした。
ミッドタウンではまだタクシーやウーバーの黒い車を見かけましたが、こちらはパトカーしか走っていなかったのが印象的です。
マンハッタンの夜の様子(ミッドタウン周辺)
先週、人の少ない時間に買い出しに行った際、家の近所の写真を撮りました。
サイレンもクラクションも聞こえない瞬間がマンハッタンであるなんて、思いもしていませんでした。静寂さが逆に耳に痛かったです。
最近の事について
外出禁止令になってもスーパーはあいています。ただ、入場規制をしているので、めちゃくちゃ混みます。早朝は年配の方を優先して入店させるところもあります。一番近いスーパーはコロンバスサークルのホールフーズですが、混みます。頑張って72丁目のトレーダージョーズに行くと、さらに混みます。なので、買い物に行く回数を減らすため、どうしてもちょっと多めに買うようになってしまいます。ただ、徒歩で持って帰れる量だけにして、節約しています。こういう時に、アメリカの牛乳の賞味期限が1ヶ月以上もつのが有利だと、とても感じました。
ニューヨーク市の食事配給に行ってみた
学校が休校になった3月16日から、授業は無くなりましたが、公立の学校はあけて1日3食「School Meal(給食)」の配給は継続されました。これは公立の学校にはホームレスの子供なども通うため、食事供給は継続する背景にあったからです。翌週からは、学校以外の特定の場所で、子供がいる家庭は無料で食事供給を受けることが可能になりました(フリーミール:Free Meals)。さらに、4月3日からは、年齢関係なく、全てのニューヨーク市民が市内の5つの区(マンハッタン、クイーンズ、ブロンクス、ブルックリン、スタテン島)で無料の食事供給を受けれるようになりました。
フリーミールは毎日13:30まで、学校の教員とボランティアの人によって学校などの公共施設前で配られてます。この食料を運ぶのは、商売あがったり状態となってしまったタクシーやウーバーの運転手です。彼らは市の斡旋もあり、3月下旬から時給$15でこの食料を運ぶアルバイトの雇用が与えられています。
うちは、学校が休校になると分かった時点でハーレムにあるCostco(コストコ)まで車を走らせて買い出しに出かけました。まだ買い占めなどが報道される前でしたが、当日はレジに並ぶのに1時間かかりました。それもあって、しばらくの食料はあったのですが、パンを買うのを忘れていて、近くのスーパーでパンが1つも売っていないこともあり、フリーミールに行くことにしました。
フリーミールでは、朝・昼・夜の3食分がもらえますが、それぞれ中身はほぼ全て同じです。
うちは二人の子供がいるので、二人 x 3食分の食事をいただきました。
気になる内容は、パン、チーズ、シリアル、お菓子(プレッツェルかクッキー)と牛乳またはジュース、といったものが3食分です。
これが無料でもらえると思ったら素晴らしいです。
サンドイッチと言っても質素なもので(贅沢は言いません!)、パンにチーズを挟んだだけのものがメインでした。
サンドイッチの内容は区域によって微妙に異なるようですが、だいたいこんなもんだそうです。友人から、このサンドイッチはハムだけどこかで買ってきて、挟んで焼いたらおいしいよ、と言われたので早速試してみました。
チーズだけあって、ちゃんととろけるチーズになり、かなり良い感じになりました。
味は見たままの、ある意味裏切らない美味しさでした。ただ、さすがに毎日食べるとなると(贅沢ですが)飽きてしまうと思います。本当に食べ物に困っている家庭のことを思うと、我が家は毎日行くことはしないと決めましたが、子供の散歩がてら、またパンがほしいときには行くことにしています。まだ実際に行ったのは3回だけですが。
思い切ってセントラルパークまで行ってみた
前に子供を連れて家の前をぐるっと15分ほど散歩して以来家を出ておらず、缶詰4日目になったので、さすがに今日は出ようと思いました。その日の天気は快晴、風もなく、綺麗な青空で、完全な散歩日和でした。
家の窓から外を見ると、ココイチで人が出ています。さすがにみんなストレスが溜まっているのか、ちょっと外出禁止令に飽きてしまったのか…。気持ちは分かります。ベビーカーに小さいこどもを乗せて散歩しているお母さんも見えたりしたので、思い切って少し長めに歩こうと思いました。もちろん完全防備です。マスクは前に一時帰国の際に日本で買ってきたものがあと6個あるのですが、およーめが余った生地で縫い合わせた自作マスクを子供付けて、大人二人は手術用の青いビニール手袋をはめて外に出ました。
そこにはウイルスなんて全く感じさせないセントラルパークが広がっていました。
桜も咲いていて、あぁ、やっぱり今は春なんだ…と感じました。
散歩する人が多いと思った今日、セントラルパークではいつもの50%減ではあるものの、最近見た中で、一番の人間を見ました。自転車に乗ってる人、走ってる人、ウォーキングしてる人、ヨガをしてる人。「いつも通り」に近いセントラルパークの風景となっているのに驚きました。
セントラルパークでリスを見かけたことはありますが、こんなにやたらと近づいてくるリスを見たのは初めてでした。人気がなくなって、警戒心がゆるんだのでしょうか。
ただ、やはり人と人との間隔にはソーシャル・ディスタンスがあり、ベンチに座っている人などもほとんどいませんでした。
1ヶ月ぶりのセントラルパークでハイテンションになった子供がついついソーシャル・ディスタンスを忘れがちなので注意しながら進みました。せっかくなので、一番お気に入りの公園(ヘクシャー・プレイグラウンド)まで歩くことにしました。4月1日から、公園の遊具利用が禁止になる、という条例が発令されたのを知っていたので、子供には「見るだけになるよ」と伝えています。
いざこの状況を見ると、人手が多くなったセントラルパークですが、やはり謹慎中に変わりないと感じました。
遊具のない、芝生の広場だけ、みたいなプレイグラウンドはまだ開放しているようです。
かなり人がいるな、と思ったセントラルパークですが、公園周辺など、走るトラックコースから少し外れると、人は一気にいなくなりました。セントラルパーク内は20分ほど歩いたでしょうか。気づいたら時間が過ぎているので、今日はこれまでにしようと思って帰路につきました。
帰りに寄ったホールフーズ(Whole Foods)で並んで待った
公園の帰りに、牛乳と卵だけ買いたかったので、スーパー(ホールフーズ)に寄ろうという話になりました。もちろん、子供は入れなくないので(店内などの密室はできるだけ避けたい)、およーめだけ買いに行ってもらい、私と子供二人は先に家に帰ることにしました。入り口だけみてみると、12名がソーシャルディスタンスの間隔を空けて並んでいました。間隔を見るために建物のスタッフが監視していて、入り口のドア付近には別に警備員が2名いました。
結果、35分待ちで入ることができたようで、今日はかなり待ち時間が少なかったようです。店内も人は少なく、レジも列に並ばないで良いように人数をコントロールしているようです。
我が家の今後について
セントラルパークまで散歩した日に久しぶりの子供のはしゃぐ顔を見ました。もちろん家でもふざけあったり、カードゲームなどに付き合って笑ったりする時間はあるのですが、やはり別の純粋な笑顔でした。ある程度の免疫を持っていたら、自宅隔離で自然治癒されると言われるコロナウイルスですが、実際にたくさんの人が亡くなられています。持病持ちだけが死ぬ、と言われていたコロナウイルスが、今では若い人で特に持病疾患がない人も亡くなっています。1,880万人の人が住むニューヨーク市で、8万人の人が感染しているので、数字にすれば、それこそ0.4%の感染率なのですが、その内、治った人の数字が分かっていないのと、少ないとは言えない4,500人の死亡者の数は気になります。
自宅にいれば、感染リスクはほぼ無くなります。ただ、昨日はリスクを犯して40分ほどの散歩に出かけました。完全防備したとしてもリスクがあった事は承知の上ですが、精神的ストレスを考えると必要な時間だったと思います。そんなに神経質にならなくて良いという人も大勢いると思いますが、今はとりあえず不必要な外出は徹底的に控えようと思います。
この文章を書いてる今も、窓から見下ろすと人がちょこちょこ歩いています。ニューヨークの死亡者の数が先日初めて減った、と思った翌日にはまた増えました。今月の12日まで全公演がキャンセルとなっていたブロードウェイ・ミュージカルも、6月7日まで公演中止が決定しました。次なるターゲットは6月ですか…。学校は6月までなので、おそらくこのまま学校に行くことなく、夏休みになってしまうかもしれませんね。
マンハッタンにいる今一番のネック
一番のネックは、もしコロナに感染した時に取れる行動と選択肢が非常に制限されていることです。症状が軽い内は確実に自宅待機となります。リモート(ビデオチャット)で主治医に連絡を取ることはできますが、呼吸困難になるまで病院に行くことはできない状態です。少し人が外に出始めた、天気の良い、春めいてきたマンハッタンの街を歩いて気分がリフレッシュしましたが、帰宅してから見たTVのニュースは今日の現実を教えてくれました。
変わらずニューヨーク市の医療は崩壊しています。
もしうちの子供が救急で行くとしたら、59丁目にある大型病院ですが、すでにそこも呼吸器が足りていないと聞いています。ニューヨーク市は子供に対しては手厚い保険があるのですが、保険の心配ではなく、病院のマンパワーが心配です。保険があっても診てくれる人がいなかったり医療器具が足りなければ意味がありません。そうなると、まだ救急で見てくれそうな日本にも度った方が良いのでは、と正直考えています。あと、何よりも生活も経済面でも厳しくなっていることもあり、医療面50%、経済面50%の理由で「日本へ引き上げ」という選択肢が頭をよぎっています。
日本はつい先日、非常事態宣言となったようですが、7都道府県のみ。前述したように、パニック・混乱回避のために極端な禁止令はできない事情も分かりますが、全国レベルでやらないと意味がない、というのはニューヨーク市に住んでいて感じました。緩さがあった部分は3日後、翌週、2週間後に条例でどんどん上書きされていきました。その結果が今に至ります。自分は専門家でも何でもないので、個人的な意見は控えますが、マンハッタンで生活していて正直な感想です。
世界一の大都市ニューヨークですから、復活はきっと早いでしょう。ただ、復活する前に自分たちが復活できない状態まで陥ったら元も子もないと思います。これまで何かある度に「帰って来い」と叫んでいたじじばば達も、2週間くらい前までは同じ様に日本へ帰って来いと言っていましたが、最近ではあまり言いません。それよりも、まだ元気で過ごしているか、という確認だけになりました。日本の状況も今まさに日々変わって来ているようです。
元々、ニューヨークのマンハッタンにある公園マップを作るために立ち上げたウェブサイトでこんな内容の記事を投稿することになるなんて、思ってもいませんでした。今回は、この記事で何かを訴えようとか伝えようとかいうつもりもなく、自分への絵日記みたいなつもりで書きました。まだ家族の中で一人でも欠けていないこの状態が本当にありがたい事だと思っています。
これを読んでいるすべての日本人が、それぞれの場所で健康が守られるよう、お祈りしています。